話せない人

場面緘黙症と情緒不安定な日々

内向型人間の生き方

あなたは学校で「殻に閉じこもっていないで、もっと元気に」とハッパをかけられたかもしれない。このいやな表現は、自然界には殻をかぶったままどこへでも移動する動物もいるのだから、人間だって同じなのだという事実を認識できていない。

スーザン・ケインさんの『内向型人間のすごい力』という本のはじめにこんな言葉があって「確かに!」と思った。これは単なる強がりだろうか? でも、そんな風に思うのは、外向的で明るい人が正しく、そうでない自分は間違っていると思い込んでいるからかも。

本を通して語られる事は「自分は何者なのか?」「どんな風に生きればよいか?」という疑問に答えてくれるものだった。また、内向型の特質は緘黙症に共通する箇所が多く、参考になるので少し紹介したいと思う。

扁桃体の興奮しやすい乳児は内向型になりやすい

生まれつき扁桃体が興奮しやすい乳児は外界からの刺激に対して大きく反応し、成長すると、初対面の人間に対して用心深く接するようになる。

扁桃体は脳内の感情スイッチの役割を担う箇所。ここが大きく反応する乳児は内向的な性格に成長しやすい。反対に、反応が鈍い乳児はより大きな刺激を求めて外向的な性格になりやすい。

場面緘黙症扁桃体の過剰な反応が原因と考えられている。もしこれが正しいのであれば、緘黙症の多くは生まれながらにして内向型の特質を持っていることになる。幼少期に「人と話せない」という状況を回避することができれば、自分はもっと明るい性格だったかも? という妄想をよくするけれど、程度の差はあれ、やはり内向的性格になる確率は高そうだ。

また、緘黙症が併発しやすい社会不安障害も、この扁桃体の異常反応と関係があるかもしれない。これはもう少し調べてみたい。

繊細な感受性

自分の性格や情緒障害が、ほとんどこいつのしわざなのかと思えば憎らしくもなるけれど、内向的性格は良い面もある。例えば独創性。

「飲み会や遊びの誘いは嬉しいけど、できれば家で本を読んでいたい」というような内向的な性質は、「暗い」とか「付き合いが悪い」と思われがちだが、一人の時間はとても大切で、そんな時間から創造的なものが生まれる。

ものごとにじっくり取り組む性質は、低刺激なものを好む内向型によく見られるらしい。

また、刺激に対して大きく反応する内向型は、繊細な感受性をもっていて、それは長所でもあるが、同時に環境に左右されやすいという側面もある。

ストレスの多い家庭環境におかれた場合、短いSERTを持つ思春期の少女たちは、長い型のSERTを持つ少女たちよりも鬱状態になる確立が20%高かったが、安定した家庭環境にある場合には、鬱状態になる確立は25%低かった。

緘黙児にとって学生時代は陰鬱なものになりやすい。自分の場合は、環境の変化で成績が大きく変動したり、人の入れ替わりで話せるようになったりした。環境に左右されやすい不安定な性格になった原因も内向的性質のためかもしれない。

パーティが苦手

大勢人がいる場面では、数多くの情報を即座に処理しなければならず、強い刺激に弱い内向型は必然的に静かになってしまう。緘黙による経験不足だけが原因ではなく、脳の機能からして不得意なことだった。

また、大勢でする表面的な話よりも、1対1でじっくり話すことを好むそうで、これも自分に当てはまる。飲み会のような不特定多数の人と集まる場面では、緊張して楽しめない。

けれどもそういった場面では、大勢と話そうとするのではなく、隣の人とじっくり話そうと意識すれば、飲み会も楽しいものだと思えるかも。

どう生きるか

ざっと上のようなことが書かれていて、とてもおもしろかった。
この本を通して分かったことは、内向的性格の原因や長所を理解すれば、自分自身をそんなに否定的に考える必要はないということ。また、常に外向的であろうとすることは、精神的に疲れてしまうが、自分が本当にやりたいことのためには外向的に振る舞うことも必要。そんなときは、「回復のための場所」をたくさん用意しておくと良いそう。

自分の場合、休憩時間はトイレや車の中に篭って過ごすことが多く、無意識的に一人になれる場所を求めていたのかもしれない。

最後に本を読むきっかけとなった、スーザン・ケインさんのTEDの動画を載せておきます。



内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える (講談社+α文庫)

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